中身が見えない文庫Xは、書店員が仕掛けたからこそ売れた

    2016/12/07

書籍名が明かされる前に買っておいた方がいい

 

 

「それでも僕はこの本をあなたに読んで欲しいのです。」

 

 

神保町を散歩していた時の事だ。

 

スイートポーズで餃子ライスを食し、喫茶店でまったりするお供を探している途中。

三省堂書店をぶらぶらしているとカバーにびっしりと文字が書かれている本を発見した。

 

p1030217

 

手に取り中を開けてみようと試みるが開ける事が出来ない。

カバーの文章にはこのように書かれている。

 

 

申し訳ありません。僕はこの本を、どう勧めたらいいか分かりませんでした。どうやったら「面白い」「魅力的だ」と思ってもらえるのか、思いつきませんでした。
だからこうして、タイトルを隠して売ることに決めました。
この本を読んで心が動かされない人はいない、と固く信じています。
500Pを超える本です。怯む気持ちは分かります。
小説ではありません。小説以外の本を買う習慣がない方には、ただそれだけでもハードルが高いかもしれません。
それでも僕は、この本をあなたに読んで欲しいのです。
これまで僕は、3,000冊以上の本を読んできました。その中でもこの本は少しでも多くの人に読んで欲しいと、心の底から思える一冊です。
この著者の生き様に、あなたは度肝を抜かれ、そして感動させられることでしょう。こんなことができる人間がいるのかと、心が熱くなることでしょう。僕らが生きるこの社会の不条理さに、あなたは憤るでしょう。知らないでは済まされない現実が、この作品では描かれます。あなたの常識は激しく揺さぶられることでしょう。あなたもこの作品と出会って欲しい。そう切に願っています。
ここまで読んでくれた方。それだけで感謝に値します。本当にありがとうございます。
※もし既にお持ちの本であった場合、返金いたしますのでお申し出ください。
文責:長江(文庫担当)

 

 

なんだこの売り方、すごく面白いじゃん!

 

 

僕はすぐにレジに持って行って購入した。

購入した後は中身が気になりすぎて三省堂を出てすぐにタイトルをチェック。こんなにドキドキしたのは久しぶりだった。子どものころ遊んでいた遊戯王のパックを開封する時のドキドキを思い出した。

 

 

文庫Xという謎本

 

 

文庫Xと名付けられたその本は、盛岡のさわや書店フェザン店の書店員さんの企画で始まり、今では全国各地の書店でも取り扱われるようになっている。

 

 

7月から販売が開始されて一時はTwitterなど各種SNSでも取り上げられるほど話題になったようだが、まったく知らなかったなあ…。

 

 

ビニールカバーを開けて中を確認してみると、なるほど確かにタイトルを隠した理由もよくわかる。タイトルむき出しで平台に置かれていたとしても、きっと手に取る事はなかっただろうなあ。

 

 

内容はすごく面白かった。

喫茶店でずっと読み続けてあと163ページだ。

 

 

それにしても、面白い販売方法だなあと感心してしまう。内容はおろかタイトルすらわからない本なんて普段買わないのに。(そもそも売ってないけども。)

 

 

なのになぜ手に取って購入したのかというと、書店員が選んだ本って事が大きい。書店員になるくらい本好きな人が、心の底から多くの人に読んでほしいって言ってるくらいだから間違いなく面白いに違いない。と考えてレジに持って行った。

 

それはつまり僕がこれまで会ってきた書店員の人が誠実な仕事をしていたからに違いない。

 

 

 

もし仮に、書店員ではなく芸能人が勧めてきたとしたら手に取る事はなかっただろう。数多くある職業の中で一番多くの本に触れているであろう人が面白いというから信用出来るのだ。

 

 

文庫Xは販売方法もさることながら、本もすごく面白かったため、書店員は本に詳しくて頼れる存在というイメージが更に強くなった。そういう意味でこの本が果たした役割はすごく大きいように思う。中身が無い本が多く、当たりはずれが大きくなってしまった今だからこそ書店員が必要なのかも知れない。

 

今後同じような販売方法が流行って、誇大広告のようになったり福袋みたいな在庫処分になってしまう事が無ければいいな。

 

 

12月9日に文庫X開きとして書籍名を明かすそうなので、買うならお早めに!開けるまでのドキドキも味わう事が出来て810円は安いです。

 - 雑記